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タンクには一三〇-一五〇気圧の水素が二五立方メートル充填され、走行距離は一九〇マイル、時速五〇マイルであったという。
ジェミニ5号の失敗一九五〇年代後半、GE(ゼネラルーエレクトリック)の二人の化学者トムーグラブとレオナルド・ニードラクが、市販のイオン交換膜を利用して燃料電池を試作して発電できることを発見した。
使ったのは硬水を軟水に変えるプラスチック製のイオン交換膜で陽イオンが通り抜けるものであった。
これが固体高分子型燃料電池の発明であり、PEM(プロトンーエクスチェンジーメンブレーンまたはポリマー・エレクトロライトーメンブレーン)型燃料電池と呼ばれている。
プロトンは陽子、メンブレーンは膜、ポリマーは高分子、エレクトロライトは電解質のことである。
そしてその際、プラチナ触媒を使うと性能が向上することがわかった。
しかしこの燃料電池には、純粋な水素と酸素を供給する必要があった。
一九六〇年代初期に、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、燃料電池を宇宙船に利用することを検討し、この固体高分子(PEM)型燃料電池が利用されるようになった。
それまでは人工衛星や宇宙船のなかで必要な電力を供給するのにバッテリーを使っていた。
しかしバッテリーでは必要な電力を得るのに燃料電池の八倍ほどの重量になり、軽量の電源が必要だった。
GEの固体高分子型燃料電池は、人工衛星にそして宇宙船に利用された。
一九六五年、宇宙船ジェミニ5号に固体高分子型燃料電池が搭載された。
飛行計画は宇宙空間に八日間の潜在ということだった。
しかし、この燃料電池はひどい結果になり、予定期間を繰り上げて地上へ舞い戻らなければならなくなった。
続く宇宙船ジェミニ6号から7号に搭載した固体高分子型燃料電池も不安定な性能しか出せず、乗員の生命が危険にさらされた。
結局、固体高分子型燃料電池は信頼されず、アルカリ型燃料電池にその席をゆずることになった。
月へ行けなかったアポロ13号の燃料電池は、アルカリ型燃料電池である。
GEはその後、この固体高分子型燃料電池の研究開発をさらに進めた。
その結果、出力密度が増大し、寿命も延びた。
しかし、体積が大きすぎることと、貴金属を利用するためコストがきわめて大きいことを改善できなかった。
そしてこの技術は、一九八三年にカナダ政府が目をつけるまで眠っていたのだった。
このとき、最初のGEの特許はすでに有効期限が切れてしまっていた。
↑燃料電池にも各種あるこの後、各種のタイプの燃料電池が開発された。
固体高分子型燃料電池の他には、以下のような四種類の燃料電池がすでに開発されている。
燐酸型燃料電池(PAFC=回O留回胃吋Ξ了叱の巴)は一九七〇年代から研究開発され、一九八〇年代後半には実用化され、すでに日本でも、発電所として数万キロワット規模の設置が行なわれている。
多くはI〇〇-ニ○○キロワットクラスで、定置型の発電装置として実用化され利用されている。
コストの点で、ようやく大型火力発電所に対抗できるようになりつつある。
電解液は燐酸であり、燃料は水素、酸化剤として酸素ではなく空気で代用できる。
動作温度が二〇〇度と高いので、排ガスの熱を暖房や給湯に利用することができる。
電力と熱を供給するコーンレーションである。
サッポロビール、キリンビール、アサヒビールなどのビール工場では、麦かすの絞り液やビールタンク内の残浴液などの高濃度排水を嫌気性発酵させてメタンガスを作り、これから改質装置で水素を取り出して燃料電池で発電している。
半導体工場では、半導体基板の洗浄工程でメタノールを使用後、PAFCの燃料として利用している。
発電だけでなく熱も利用して、工場の空調熱源としてまたボイラー補給水の加熱用に利用している。
自動車に搭載されたこともあるが、出力密度が小さく、全体の寸法が大きくなり、普及するには至らなかった。
電解液が燐酸であること、動作温度が二〇〇度であることなど、管理が簡単ではないのが難しい点である。
アルカリ型燃料電池(AFC=kalineFuelCe)は、電解質として水酸化カリウムというアルカリ水溶液を使用する燃料電池である。
動作温度は二言度程度と低い。
燃料は水素であり、酸化剤は酸素または空気を用いる。
水素は高純度でなければならず、ごくわずかでも二酸化炭素が混入すると電解質の水酸化カリウムと反応し、電解質を劣化させるので、二酸化炭素は禁物である。
一九九七年にカリフォルニア大気資源委員会が燃料電池の調査を行なったとき、この二酸化各種燃料電池の特性型アルカリ固体高分子燐酸溶融炭酸塩固体電解質名称は炭素に弱いという理由で自動車用には使えないと判定されている。
潜水艦用電源として利用された歴史があり、宇宙用にも利用されている。
コーディッシュが初めて自動車に搭載したのがアルカリ型燃料電池であった。
溶融炭酸塩型(MCFC=MoltenCarboteFuelell)は、電解質として溶融した炭酸塩を利用する。
動作温度が六五〇度程度であり、白金などの貴金属触媒が不要であり、燃料としては水素と一酸化炭素が利用できる。
空気と二酸化炭素を酸化剤として供給する。
火力発電に代わるものとして研究開発され、日本でもメガワットのパイロットプラントの建設が進められている。
固体電解質型(SOFC)は、電解質が固体イオン伝導性をもつ酸化ジルコニウムを使用するので、電解質の漏れの問題がない。
動作温度は高く八〇〇度から1000度であり、白金などの高価な触媒は不要である。
逆に動作温度が高いため、構成材料のセラミックスの割れなど材料の問題が生じる。
燃料は水素または一酸化炭素であり、空気を酸化剤として利用する。
排ガス温度が高いので、ガスタービンを駆動するハイブリッドシステムを構成する例もある。
円筒型のものが作られている。
平板セルを積層するとガスシールが難しく、平板型は開発が困難とされている。
まだ研究開発段階であるが、いくつかのメーカーは、小型化により家庭用コージェネレーション装置として実証実験を行なう段階に来ており、将来性が高いとみなされている。
以上のような各種の燃料電池の特性を整理する。
メタノールを直接的に燃料として用いるメタノール燃料電池がある。
効率はあまり高くないが、パソコンなどのモバイル用電源に利用することが検討されている。
いずれのタイプもそれぞれ特徴があり、コスト、規模、効率、排熱利用などにより適した用途に実用化をはかる研究開発が行なわれている。
八〇年代後半から、この各種の燃料電池のなかで固体高分子型(PEMFC=ExchangeMebraneFuelCell)の可能性が大きく取り上げられるようになってきた。
出力密度が大きく、低温で動作し、コンパクトにでき、電解質が溶け出さず安定であるという特徴をもっている。
イオン交換膜電極セパレータ固体高分子型燃料電池のセル現在、自動車用に開発されているのは、この固体高分子型燃料電池である。
そして、自動車用に量産されればコストが低下し、定置用発電やモバイルコンピュータ用電源などに広く利用される可能性があると期待されている。
固体高分子型の構成固体高分子型燃料電池は、多数のセルからなっている。
ひとつのセルはイオン交換膜、電極、セパレータからなっている。
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